こんにちは、歴史や美術、世界遺産が大好きなノーシュンです。
突然ですが、古代ギリシャと聞いて、何を思い浮かべますか??
彫刻・神殿・哲学....とか?
なんか凄そう・頭良さそう みたいなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか!笑
これらは、あながち間違っていません。経済的に安定していた古代ギリシャは後世の文化や哲学に影響を与えたと言って良いでしょう。
例えば、オリンピック・スパルタ教育・マラソンといった語源も古代ギリシャから来ています。
また、ギリシャ神話に出てくる神々や怪物も多くのゲームでオマージュされています。:ゴルゴンとかミノタウロスは有名ですね。
とは言っても、世界史を専門的に習わないと馴染みがないのも事実。
今回はそんな古代ギリシャについて、初心者でもわかるように歴史をなぞって解説していきます。
目次
古代ギリシャってなんや
まずは古代ギリシャに興味を持ってもらうために、結論から。
古代ギリシャは紀元前3,000年~紀元前148年頃にあった文明を指します。中でも栄えたポリスのアテネでは政治(民主政)が初めて確立され、さまざまな文化を産み、多くの知識人を輩出します。
冒頭でも言いましたが、色んなもののルーツが古代ギリシャにはあります。
哲学・文化・神話・国家の在り方 etc...
つまり、我々が現代を過ごし、触れているものの基盤がほとんどギリシャから始まっていると言っても過言ではありません。
哲学・・・ソクラテス、プラトン、アリストテレス
芸術・・・ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、パルテノン神殿
神話・・・ゼウス、ヘラ、ゴルゴン、ケンタウロス
古代ギリシャの年表
紀元前3,000年のエーゲ文明から都市国家であるポリスの成立、そしてマケドニアに全ギリシヤが支配されるまでを古代ギリシャと一般的にいいます。
今回はポリスが成立するまでの歴史とポリスがもたらした経済的・文化的影響について解説していきます。
まずは簡単な年表から
(前3,000~前1,200年) エーゲ文明誕生
(前1,200年~前700年頃) 暗黒時代~ 400年歴史に空白が生まれる
(前621頃~) アテネで民主政の礎が築かれ、民主政が推進される
(前492~前449年) ペルシア戦争
(前443~前429年) ペリクレスの時代
(前431~404年) ペロポネソス戦争
古代ギリシャの始まりについて
エーゲ文明
古代ギリシャはエーゲ文明から始まります。
前半をクレタ文明, 後半をミケーネ文明と呼びます。
現在のエーゲ海を見るとわかりますが、この地域は島々が点々としていてかなり複雑な地形を持っています。当時は陸路での往来が厳しく、地中海は貴重なルートでした。ギリシャ文明はこの地の利を活かして海上交易で栄えたのです。
前2000〜1400年にクレタ文明が、前1600〜1200年にミケーネ文明が発展したわけですが、実は民族系統もわからなかったり、文字の解読もできていなかったりと謎多き文明なのです。。
ちなみにクレタ文明の建造物として残っているクノッソス宮殿はミノタウロスが幽閉されたことで有名ですね。迷路みたいな構造になっています。
暗黒時代
ミケーネ文明の崩壊後、1200年から紀元前700年頃まで史実を追うことができなくなる暗黒時代に入ります。
文字資料に乏しく、実態は明らかになっていません。
ただしこの時期に、ホメロスが「イリアス」を著したとされ、当時の社会を映し出しているのではないかと期待されています。
これについはまたどこかの機会で詳しく。。
ポリスの成立
紀元前8世紀にはポリスが成立したと言われています。
ポリスとは簡単に言えば、都市のこと。
特徴として下記が挙げられます。(受験に必ず出るやつ)
- 丘(アクロポリス)に神殿や城砦を築いていたこと
- そのふもとの広場(アゴラ)で政治・経済活動を行い、集住(シノイキスモス)をしていた
- 仲間意識が強く、自らをヘレネスと呼び、他民族をバルバロイと呼んでいた。
このようなポリスは自立的な市民で構成されており、民主政の発展に繋がっていきます。
ギリシャ語を話すこと・ギリシャの神々を信じていることがこれらコミュニティ参加の資格とされ、オリンピックも同様の参加条件でした。
これらのポリスは1500ほどあったと言われていますが、中でも大きかったのがアテネとスパルタです。それぞれ佐賀県と広島県くらいのサイズだったと言われています。
これらのポリスを中心に歴史が動いていきます。
その勢力範囲はイタリアのナポリやフランスのマルセイユといった地域まで及びました。
民主政への歩み
民主主義を最も成功させたポリスはアテネと言えるでしょう。
アテネは元々王政を取っていましたが、途中から貴族制に移行、アルコンと呼ばれる役人により統治されていました。やがて、平民と貴族に貧富の差が生まれ、対立が大きくなっていくのですが、これから紹介する指導者たちが民主政へと一歩ずつ進めていきます。
いち早く立法者となったドラコンがこれまで貴族が勝手に決めていたルールを成文法によって公正なものにします。
ドラコンの後はソロン、ペイシストラトス、クレイステネス、ペリクレスの順で主権を持っていくわけですが、彼らについては詳しく書いていきます。
ソロン
貴族出身。
- 貴族と平民による貧富の差があったが、借金を帳消しに。借金を返せない場合は奴隷になる法も撤廃。他にも銀の金銭的価値を切り下げて借金を返しやすくするなど、借金を減らし貧富の差を減らすことに努める。
- アテネの市民権を持つ全員を財産の量(小麦量)で4階級に分ける。
これでも格差があるように感じますが、貴族制があった当時では、これにより平民も政治に対する力を持つように。
ペイシストラトス
サラミス島をメガラからアテネに帰属させたことを機に独裁権力を握るようになる。史実上では非合法的にポリスの権力を掌握したため支配的な僭主説明されることが多いですが、民主政を推進したのも事実。
ドラクマ銀貨の鋳造による経済の活性化、平和的な外交、アテネ産の壺が地中海を席巻したのもペイシストラトスの治世によるものだと考えられています。
クレイステネス
クレイステネスは陶片追放の制度を作ったことで、独裁を行う僭主が現れてしまうことを防ぎました。クレイステネスの前のペイシストラトスが独裁者だったため、これを繰り返さないための制度。かなりの策略化で、自作自演の敵襲を理由に親衛隊を持たせ、独裁体制を確立したんだとか。
ペリクレスは更に民主政を推進させ、下層民の政治参加のきっかけを作りました。東からのペルシア勢力に数回の戦争を通して打ち勝ったアテネは最盛期。艦船の漕ぎ手を担った無産市民の地位があがり、民主化が推し進められます。
*今では当たり前ですが、2000年以上前に民主制が成立していたとは、驚きですね。。しかも直接民主制なので政党による間接的な投票ではなく、自らが候補者に直接票を投じることができます。トップを直接投票で決められるという点で、今より徹底された民主主義でした。
もう一つのポリス "スパルタ" の特徴
スパルタ教育の由来となっているスパルタ。アテネに並ぶほど力を持っていたポリスですが、その性格はアテネと大違い。征服者であるスパルタ人が少数で被征服民を支配していたため、スパルタ人は常に軍国的な鍛錬を重ねていました。
具体的には。。
- 子供が産まれた瞬間に身体検査。重度の障害がある場合には殺されることも。。
- 7歳から母親の下を離れ、集団生活が始まる。食事も筋肉重視のため不味いものばかり
- 二十歳になったら通過儀礼として7日間森でサバイバル。帰りには被征服民の首を持って帰らないといけない
関連世界遺産
この時代に関連しているギリシャの世界遺産を紹介します!
ギリシャ観光する機会があればぜひ行ってみてください
オリンピアの考古遺跡
オリンピック発祥の地。第一回の紀元前776年~後395年まで続きます。
オリンピアは元々「聖なる山」と呼ばれており、ギリシア人にとっては聖地のような場所でした。ゼウスに誓いを立て行われた競技会は4年に一度の頻度で行われ、その間は休戦するというルール。意外なことにスパルタの優勝成績は数えられるほどしかないんだとか。
デルフィの考古遺跡
オリンポス12神のアポロンをまつる神殿があった遺跡。アポロンはゼウスの意思を告げる予言の神。政治・外交等の大事な局面の際には、神殿の巫女の口によって語られる予言(=デルフォイの神託) を頼りに方針を決めていたそうです。当時のギリシヤ人にとってはこれ以上に信頼できる予言は無かったため、デルフォイの神託によって決まったと一度言われれば誰もが納得しました。
参考文献
ゲームさんぽのギリシャ観光がめっちゃ面白いのでおすすめです!
アテネの最盛期を舞台にしたゲームソフト「アサシンクリード・オデッセイ」の世界を散策しながら、古代ギリシャについてわかりやすく解説してくれています。
書籍としては塩野七生著の「ギリシア人の物語」がおすすめです。小説のようにスラスラ読みやすいかつ、当時の政治がなぜ機能したのか、なぜそれぞれのキーマンが政権を掌握することができたか詳細に書かれています。
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