今回は、現代語訳『論語と算盤』について書評をしていきます!
この本の著者は「日本資本主義の父」と言われている渋沢栄一です。

吉沢亮さんが大河ドラマで演じられていたり、次の1万円札の人物に抜擢されていることから、最近注目されている人物ですね!

今回の記事では、渋沢栄一ってどんな人?から始め、この本の大まかな内容と感想について語っていければと思っています!!

渋沢 栄一 (著), 守屋 淳 (翻訳)

読んだ理由

こんなに注目されている渋沢栄一を全く知らないのはやばいな...と思い、手に取ってみました! 新書なのでページ数も249ページと比較的ライトかと思います。

ただ、一つ勘違いしないで欲しいのが、この本は決して渋沢栄一の伝記ではありません! 僕自身勘違いしてました...笑

あくまでも渋沢栄一という人物の仕事とはどうあるべきかといった哲学を本人が著している本になります。

渋沢栄一ってどんな人?

渋沢栄一の名前を知っていても何をした人か答えられる人は多くないのではないでしょうか?
僕もよくわかっていないまま読み始めたのですが、導入部を読んだだけで興味が一気に増しました。

会社に出勤するため、いつも通りJRに乗って日経新聞をひらいた。ふと目をやると、車内吊り広告にサッポロビールのうまそうな新製品の宣伝がある。そういえばもう年末、クリスマスは帝国ホテルで過ごして、初詣は明治神宮にでも行くかなあ。

驚くなかれ、ここに出てくる固有名詞すべての設立に関わった人物が、渋沢栄一なのだ。

論語と算盤「はじめに」より引用

渋沢栄一は「日本資本主義の父」とも評され、JR,日経新聞,サッポロビール,みずほ銀行,帝国ホテル,東京海上日動火災保険などの名だたる企業の設立に携わった実業家であり慈善家です。

彼は埼玉県深谷市血洗島に生まれ、第15第将軍の徳川慶喜に仕えました。
その後、フランス渡航する機会があった渋沢は資本主義によって支えられたヨーロッパ経済に驚きます。

ご存知の通り、日本は鎖国をしていたことにより近代化が遅れていましたが、経済の仕組みにおいても遅れを取っていました。商業といえば町人が行うもので、政府が主導することはありませんでしたし、何より日本には伝統的な身分制がありました。フランスに渡った渋沢は軍人と商人が対等に話す姿を見て驚いたと記しています。

渋沢は官僚も務めました。大蔵省(現財務省)で資本主義の体制を推進した後、実業界へと足を踏み入れます。

彼が設立に関わった会社はなんと481社!
その他にも500以上の慈善事業に関わったと言われています。

『論語と算盤』の内容

先ほども書きましたが、論語と算盤は渋沢栄一によって書かれた本であり、決して伝記ではありません! 

まずは、論語と算盤という変わったタイトルについて説明しましょう。

『論語』は中国の春秋時代に活躍した孔子の言行録であり、「人はどう生きるべきか」「どのように振舞うのが人として格好良いのか」といった道徳的な部分をカバーしています。

ビジネスに対し「金儲け」と言ったマイナスイメージがあった実業界にこの論語の精神を取り入れようと説いているのが本書であり、渋沢は常に「論語と算盤は一致するべきである」言っています。

「士魂商才」というのも同じような意味で、人の世の中で自立していくためには武士のような精神が必要であることはいうまでもない。しかし武士のような精神ばかりに偏って「商才」がなければ、経済の上からも自滅を招くようになる。だから「士魂」とともに「商才」がなければならない。

ビジネスにおいてSDGsやCSR(企業の社会的責任)が重要視されている昨今、事業を行うこと・仕事をすることの意味や道理を考えさせてくれる1冊となっています。

『論語と算盤』の感想

論語と算盤では当時の国の課題や現状を述べつつ、渋沢の仕事における哲学が書かれています。

その中でも、金・仕事 = 悪という考え方が蔓延していた江戸後期において、道徳を経済活動に取り入れれば社会に還元できるを説いているわけですが、この金・仕事 = 悪 という考え方は今でもまだ残っているように感じるんですよね

極端な例ですが、例えばZOZOの前澤社長のお金配り。
自身のお金を多くの方に配っていることは行為として素晴らしいにも関わらず、どこか穿った見方を僕はしてしまいます。

"お金は正しく使われれば決して卑しいものではない" このことを胸に刻みつつ、自分がどう企業・社会に貢献すれば世の中のためになるか考えさせられました。

印象に残ったフレーズ

論語と算盤は仕事をしている社会人の全ての人に読んでもらいたい1冊だと思いますが、若者に向けてのメッセージが多いように感じました

特に僕は今年で新卒1年目なので心を動かされましたね...

いくつか抜粋したいと思います!

蟹穴主義

あんまり馴染みがない言葉ですよね。渋沢は「蟹は、甲羅に似せて穴を掘る」という主義で「渋沢の身の丈」を守ということを心掛けているらしいです。

要するに、自分の力を過信して身の丈をこえた望みを持つのでないということなのですが、こんなに偉業を成し遂げた渋沢がここまで謙虚なのかと驚かされました。

もちろん意欲的に新しいことを挑戦することは大切なのですが、自分がなすべきことを決めた上で行動するというバランスが大切だと教えられました。

常識とは「智、情、意」

社会に出ると常識を持っていなければなりません。

常識なんて大人が勝手に作ったルールでしょ?

と調子に乗って考えていた時期もありましたが笑
いったい「常識」ってどういうものを指すのでしょうか?

渋沢は常識には「(知恵、情愛、意志)」の三つの調和が必要だと述べています。

常識を身に付けるには、物事のプラス面やマイナス面を見分ける能力、すなわち「」- 知恵 が必要です。

ただし「智」ばかりでも、自分の利益のために他人を突き飛ばすような人になってしまえば目も当てられません。

ここで必要なのが「」-情愛 です。
「情」が加わることによって知恵のみに偏るのではなく、バランスを保津ことで、円満な解決を与えてくれます。

この二つで十分な気がしますが、渋沢は「情」にも欠点があると言っています。
それは瞬間的に湧き上がりやすいことです。
私たちはつい瞬間の感情で決断をしてしまうことがあります。このような動きやすい感情をコントローするために「」- 意志が必要だというのです。

終わりに

今回は渋沢栄一の『論語と算盤』について書評をしました。
現在、大河ドラマ等で注目を浴びている人物なので、是非この機会にチェックしてみてください!

渋沢 栄一 (著), 守屋 淳 (翻訳)
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